皆さん、こんにちは!
元事務のライター山田です。
皆さんは事務職、と言うとどんなイメージがありますか?
「決まった仕事を黙々とやる」
「定時に帰れる」
「長く勤められる」
わりとよく挙げられるのがこのあたりでしょうか。
私は現在は主婦をしつつ、在宅でWEBライターを生業としておりますが、結婚前は販売職を経て、事務職に従事してました。
事務員をしていたのは十五年ほどでその間に一度転職をいたしました。その転職する前の会社がまさに、上記に挙げたような雰囲気の職場でした。
当時の私が配属されていたのはマーケティング部というところで、そこでは複数の当時の私と同じ世代、20代の女の子たちがたくさんいて、それぞれに決まった仕事を行っていました。
残業も繁忙期と呼ばれるとき以外はまったくなく、仕事終わりにはみんなで飲みに行ったりして、とても楽しかったです。
結婚した今でも、その当時に仲が良かった子とは時々、ご飯を食べに行っています。
と、ご飯云々はさておき・・・
毎日決まった仕事をきちんとこなす、それはどんな事務職でも多かれ少なかれ求められる要素だと思います。そしてそうやってルーチンをこなす人がいなければ、会社は動きません。
そう思っていたのですが、私はその会社を転職しました。ルーチンの仕事をこなすことが嫌だったと言うよりは、このままだとそれ以外の仕事ができなくなってしまうのではないかと思ったためです。
できるだけ多くの仕事をしたい、という希望から私が選んだ会社は、事務員は自分一人の会社でした。
しかし、ルーチン作業に慣れていた私にとって、新しい職場はこれまでとは全く違うスキルが求められる場所だったのです。
私が転職した会社は小さいながらも二十年以上の歴史がある、IT企業でした。
本社とは別に東京支社があり、私はその東京支社の事務員として採用されました。
それまでは事務作業をプログラマーの方が肩代わりしていたそうで、事務を迎えるのは私が初めてとのことでした。
もちろん、本社には複数の事務スタッフが常駐していて、Skypeなどで連絡が密に取れる状態でしたから、すべて丸投げ!ではなかったものの、自分一人でなんとかしなければならない部分は多分にありました。
どんな仕事をしていたのか少しご紹介しましょう。
東京支社には、役員が一人常駐されていたほか、社長も時折本社からいらっしゃいました。
そんな社長や役員の方のスケジュールの管理や、急な外出の際の資料準備、宿泊先の手配など、役員秘書としての仕事は突発的に発生しました。
秘書業務で求められることは、相手がなにを求めているのかを読み取る能力だと思います。
その方の抱えている仕事内容をある程度把握し、必要なものを先読みする、そんな細やかな気遣いが求められる仕事でした。
最初のうちはそれがわからなくて本当によく叱られました。
「頼まれないとわからないって言うのだと困るよ!}
と厳しい言葉を浴びせられたこともあります。
しかし時間はかかりましたが、徐々に相手の求めていることが理解できるようになり、退職間際には「君がいなくなるとこれからどうしたら良いかわからない」と言っていただけるまでになれ、転職してよかったなと思えたものです。
IT企業でしたので、社員のほとんどがシステムエンジニア(SE)やプログラマー(PG)だったのですが、彼らの労務管理もまた、私の仕事でした。
具体的には、SEやPGは社内で業務されている方のほか、お客様先で常駐されている社員も多かったため、彼らの勤務実績を把握し、給与計算をすることまでが私に求められた仕事でした。
ここで必要となったのは、労務知識でした。
勤務時間を算出する方法はもちろんですが、労働者が勤務する際、労働基準法に反するような働き方になっていないかを確認するなど、労働者を守る法律の知識が不可欠だったのです。
社員の方から社会保険に対する質問、たとえば「今回怪我をしてしまったんだけど傷病手当金の申請はどのようにするのか」といった問い合わせの対応も私の仕事でした。
最終的には本社に確認、許可をいただいての業務ではありましたが、この知識を身に着けられたことは、私にとって大きな収穫だったと感じています。
いわゆる「総務部」で行う仕事全般も行っていました。
他の社員の方が気持ちよく働けるよう、備品の管理や、不具合が出たときの応急処置などです。
プリンターがもしも壊れたなら修理業者を手配しますが、「これくらいなら直せるな」と思うレベルであれば自分で修理をします。
もちろん最初のうちはできませんでしたが、修理している姿を見たり、自分で手引書を読み込むことで簡単な修理ならできるようになりました。
また年間行事を大事にする会社だったため、その手配もまた私の仕事でした。
お花見や忘年会のときの飲食物の準備や、お店の予約、最終的な会計処理などの一連の仕事です。
一人ではでききれない部分は、社員の方への協力をお願いしてこなさなければなりませんでしたので、調整力の向上は必須でした。
様々な業務を経験してまいりましたが、未経験業務をなんとかこなしてこれたのには二つ理由があったと思います。
一つ目は、とにかく自分の限界を決めなかったこと。
「こんなにできない!」と叫びたくなったことも一度や二度ではありません。
でも、無理と決めつけたら本当に無理になってしまうと思いましたし、
なにより自分しか事務がいない、ということは無理でも代打はいないという意味なわけです。
代打がいなければ、会社の機能は止まってしまう。この思いは私を動かす原動力となりました。
そして二つ目。それは前職で培ったOAスキルが私のベースにあったということ。
一人しか事務がいない状況ですと、ちょっと操作に困ったからって早々助けも求められません。
エンジニアの方は周りにいましたが、私にOA操作を教えるのがその方のお仕事ではないのですから。
困ったら自分で何とかするしかなかったのです。
けれど幸いにも前職でOAスキル、特にExcelの基本は抑えていたことが私を助けてくれました。
給与計算、経費精算、スケジュール管理など、ちょっとしたことにも使われるExcelがまったく未知のソフトだったら、と思うと今でもぞっとします。
芸は身を助ける、なんて言葉がありますが、経験や知識があるかないかはその後の自分の人生に大きく作用するファクターだと思います。
私の場合、前職でのOAスキルが次の会社で確実に生きてきましたし、次の会社で得た秘書業務、労務知識、総務の心得などは、現在在宅でWEBのライターをする上でも確定申告の知識、スケジュール管理のコツ、経費の管理などに威力を発揮しています。
どんな経験も身にならないものなんてない、というところでしょうか。
このページを御覧いただいている皆さんは、転職を考えておられる方が多いのではないかと思います。
そんな皆さんへ、転職経験者の私から言いたいのは実は一つだけです。
「事務職でのキャリアアップを目指すならExcelは必須」ということです。
転職する場合、キャリアアップを視野に入れての転職をしようという方は多いと思います。
けれど「成長したい!」という意気込みだけでは、なかなか転職は成功しません。
なぜなら、ベースがきちんとできていない状態で新しい環境に飛び込むと、本来その仕事をするのに必要な技術がない状態からのスタートになるので二倍苦労することになり、結局続かない、ということもあり得るからです。
特にExcelは事務職での転職においては必須スキルで、採用条件にExcelのグラフ作成や、ピポットテーブルが使えること、など具体的なスキルを明示している会社があるほどですから。
私の場合は、前職でベースを先輩に教えていただいていたのでなんとかやっていけましたが、なかなか会社で習得が難しい、という場合は、Excelに特化したスクールを利用するなど、まずは学ぶ場を確保して自分自身の底上げをすることが近道になると思います。
あなたの「成長できる転職をしたい!」が叶うよう、微力ながら応援しています。がんばってくださいね!
【ライター:山田 ゆい】